岩根の未来を考えるC | ||
2014/05/28記 | ||
上記の写真は、23日に出席した日本自治創造学会で「東京一極集中の必要性と日本の将来」と題して明治大学大学院長の市川宏雄氏が使用したスライドである。 市川先生の主張は、東京という巨大都市が世界と戦って経済的に成長することで生じる税収を地方に還元し、地方は人材や資源を都会に供給することで日本という国家が生き残るというものであったが、その中で地方の人口減少に対応する手段としてコンパクトシティを改めて提示されたのである。 国土交通省のHPで確認してみると集約都市(コンパクトシティ)形成支援事業の創設として『都市機能の近接化による歩いて暮らせる集約型まちづくりの実現に向け、拡散した都市機能を集約させ、生活圏の再構築を進めていくため、医療・福祉施設、教育文化施設等の都市のコアとなる施設の集約地域への移転の促進、移転跡地の都市的土地利用からの転換を促進する支援制度として、平成25年度に同事業を創設しました。』とある。昨年度に創造されていながら気がつかなかったことは迂闊であった。 先日岩根西公民館で行ったフォーラムの中で巖根駅の周辺には『医療・福祉施設、教育文化施設等』は揃っていながら市街化調整区域が多く、下図を提示して居住可能用地が少ない事を伝えていた(関連記事、及びフォーラムの概要@、A、B) 上図に点線で描かれた円は巖根駅から500mと1kmの圏内を示しているが、フォーラムでは青く着色した範囲の高度利用を提案しただけである。国土交通省の示す1km圏内まで広げると、まだまだ多くの土地が白地である調整区域に指定されいる事が解る。都市近郊農業を維持するという観点も必要であるが、実際に岩根で起きている問題は農業用水路に生活雑排水が混ざるといった水質の問題や、水路維持に都市型住民が協力してくれないトラブルなどを抱えているのである。居住区域と農用地の区分は政策的に考えるべきで、それとともに都市計画法第34条11号の適用地域の廃止も検討するべきである(関連記事)。 現在、コンパクトシティを実践している都市として青森とともに有名なのが富山市である。その政策は全てを中心市街に集約させるのではなく、公共交通を活用した「串団子」型都市形態を目指している。つまり現在も都市施設が集約している拠点を活用して、それ以外の場所から順次集約を進めていけるよう、そのような拠点に行政財産を集約させているのである。 交通弱者対策として公共バスへの補助を行うことも否定はしないが、住み慣れた家を離れても便利な場所で余生を過ごしたいという高齢者や徒歩圏に保育園や小学校が有って医療も充実したところに住みたいという子育て世代への需要を満たすため、そして現在有る財産の活用という観点からも巌根駅周辺の利活用の見直しが必要になってくるという確信を持ちながら、今回の記事で『岩根の未来』シリーズを終了する事にしたい。 |