来月7日に開催される議会では補正予算や決算などの5議案が上程される予定となっているが、何より市民の注目を集めるものは水道料金の改定である。統合10年目から統一料金となるわけであるが、それまでは各市を単位とするセグメントでの採算を計算するので、平成16年の値上げ以降は経営状況の良い木更津市は今回値上げせず、平成28年以降に合併を前提とした値上げを行っている他三市は値上げとなるのである。統一前の激変緩和も加味した改定を行うように今までの議会等で繰り返し伝えてきたが、内容は小手先の最低であり5年後に大きな課題を残す結果になりそうだ。料金改定率は供給単価を比べることで比率が示されるが、平成16年の木更津市の料金改定直前から今回の改定後までの推移を議会では示していただくことを依頼したので全体像は示せると思うが、その詳細については議会後に記載させていただきたい。
、議案以外で特記すべきものとして広域統合の効果の出る事業として木更津の上烏田・富津の上飯野配水池を整備することで君津の久保配水池エリアをカバーし、久保水源・浄水場・配水池を廃止することで年間維持費を35百万円、その更新費を66.7億円削減する計画の元で49億円と予定される上烏田配水池の設計施工一括発注(DB)を来年度発注すること、大寺浄水場の耐震化工事の為に隣接用地の購入を進めること、広域ビジョンを策定するためのパブコメを来年2月に行うこと、議会後に四市の14箇所で広域ビジョンと料金改定の説明会を行うことなどの説明が行われた。懇話会終了後に11月議会における人事と進行の打合せを済ませて2時間に渡る説明会が終わった。帰宅後に雑務を処理し、娘を学童へ迎えに行ってからHPを更新した。
31日も都内に通勤する妻と一緒に金田BTからバスに乗り東京で降り昨年破損した山道具を購入するため十数年ぶりに神田神保町に行くと既にそのメーカーは無くなり他社も生産を中止して在庫もなく同様機能の後継モデルもないと言われる。古いものを大切に使っているうちに道具の進化の早さに浦島太郎状態となる。その後、神田古本まつりと皇居東御苑を見学して昼食を摂り議長会などで頻繁に利用した経験のある都市センターホテルに入る。現地で鶴岡議長、草刈・齊藤秀両議員と合流し、全国から集まった2百人近い議員とともに全国自治体病院経営都市議会協議会が主催する第17回地域医療政策セミナーに出席する。
講演は2つの事例紹介であり、最初の講師は名寄市総合病院情報管理センター長の守屋潔氏である。道北北部の基幹病院として稚内から士別まで30の医療機関をICTで連携し広大な地域で専門医が不足している状況を解消していることも凄いことであるが、主題は地域包括の情報化である。
市の参事である守屋氏はITの専門家の工学畑で2008年には旭川医科大学の医工連携特認教授も務めているが医師ではない。本人の介護経験から病院、歯科医院、診療所、薬局、介護施設、包括ケア、行政が情報を共有する重要性を認識してシステムとして整備した。重要なことはこれらの関係者が一同に会し互いに必要とする情報を理解し合い、それぞれをリスペクトする「場」としての医療介護連携WGを造りあげ、そこが主体となって市内で健康まつりを運営するように成った。効果は在宅で見守る体制の早期構築となり在院日数の短縮となって現れている。導入前に平均36日だったものが退院調整が短縮され27日に短縮された。導入に当たって関係者にタブレットを配布し最初のうちは通信費も市が負担したが、3年目からが各自の負担としたようだ。自治体が事務局となり地域全体で最適なシステムを構築することと現場の声を反映することで当事者意識を持たせることが重要で、地域福祉の向上を図っていた。
次の講演は愛正会山科病院の消化器外科部長の荒金英樹氏で、普段は内臓の癌手術を専門としているが、栄養摂取と食事の意義を考え病院内で栄養サポートチームを編成した。高齢者の摂食障害や誤嚥性肺炎に対して、単なる栄養を摂取するだけの食事から、文化としての食事を進めている。
最初は嚥下食の基準がバラバラであったものを京都府の医師会・歯科医師会・栄養士会・言語聴覚士会・看護協会等をまとめて共通基準を制定し、さらに地域との共生を進めて産業化を目的に「京滋摂食嚥下を考える会」を発足し和食や和菓子、お茶やお酒に範囲を広げ「京介食推進協議会」として普及と認定を行うなど活動の範囲はまちづくりにまで広がっている。病院食しか食べられず自宅と病院だけの生活になっていた高齢者が対応された京懐石料理を食べる姿を見て配偶者が食事が苦痛でなくなったと号泣した話は印象的である。
医療の専門家でない技術者が医療介護の連携を図り、料理や食器の専門家でない医師が活動範囲を広げて協力者にするなど、専門以外の視点が患者の生活を変えていく事例を示していただき、医師ではない議員にもやるべき事が多くあると示唆していただける良い講演であった。木更津から参加した4人で情報交換してバスで帰宅した。
→2023年11月上旬の記録 |