十枚山 1,726m 静岡県静岡市
2022年09月16日登山:単独
 
 S井と週末には山伏に行こうと決めていたが私がコロナウイルスの濃厚接触者となってしまい、万が一を考えて予定を取り消した。運良く前日の検査で陰性であることが判明し、S井に確認すると別の予定を入れてしまったことを知る。台風14号接近を前にして天気は良いようなので単独行強行登山を行う覚悟を前夜に決めた。
 
 朝2時半に起床し前夜のうちに荷物は積み込んであるので10分後に出発。新東名の新静岡で降りて夜明け前のコンビニで朝食を摂り登山口を目指す。途中に現れた有東木(うとうき)という山葵発祥の地という綺麗な集落に感心し、更に山を登り標高1,160mの真崎峠駐車場に到着する。気温17度の中で着替え6:08に歩き始めた。
 前夜に雨が降っているようで苔が綺麗な色を見せ、霧の中の庭園のような道を進み6:48に地蔵峠[1,414m]に到着する。稜線を雲が渡りミストシャワーの中を歩いているようで心地よい。次第に青空が広がり始めるが直射日光の中で登らなくて済むのは有り難い。従走路の所々に有る水たまりには熊の足跡が有り、その明瞭さから着いて間もないものだと思うと警戒させるよう歌を歌いながら登っていく。7:36に通過した岩岳[1,682m]は名前のような厳しさも展望もなく、まだ続く苔の道が爽やかである。簡単な岩場を過ぎ、小さな上下を繰り返し三角点のある下十枚山[1,732m]に8:17に到着する。ここは十枚山頂より6m高くてコース上の最高所であり、十枚峠[1,600m]の鞍部まで一旦降りなければ成らないので登り返しがきつい。山頂を通過すると南アルプスの展望が広がる笹原に出たので先を考え小休止する。
 十枚峠を8:41に通過し黙々と登っていくと9:08に開けた山頂に到着する。先ずは設置されている鐘を鳴らし、清水と静岡を区分するかの様に海に向かって連なる通過してきた従走路を眺める。富士山も見えているのであるが展望が開けたところは見つけられなかった。オレンジジュースを飲みS井にLINEを入れ9:25まで休憩する。
 すっかり青空が広がった復路を進み先ほどの南アルプス展望所に着くとこの山で唯一の登山者と遭った。真崎峠からここまでの往復で十枚までは行かないと言っていた地元の方は、台風で登山道が荒れる前に南アルプスを見に来たと言いながら食事を楽しんでいた。雲も減り赤石山脈南部が気持ちよく広がり、私も一緒に休憩を取りながら右端に有る日本二百名山でもある笊の双耳峰を眺め、あそこに登るのは何時の日だろうかと考えていた。
 食事を終えた登山者は健脚で、後を着いて歩いていたが直ぐに熊鈴の音が遠くになっていった。私は富士山の写真を収めるべく、下十枚山の頂の東側の藪に入ったりしたが、そこを過ぎて10分ほど降りたところが最も富士山が良く見える場所だった。しかし雪を被っていない山は単調で、この山域から富士を見るのは冬から春が良いなと考えながら岩岳を10:55に通過し苔の生えた岩場で小休止する。休みながら、これ以降は車まで降りるだけであり、まだ足には余裕があると感じていたのでこれから山伏へも登りに行こうと決断する。11:35に地蔵峠を通過し私の車しか停まっていない駐車場には12:08に戻り着いた。こまめに休憩を入れたので行動時間は6:00ちょうどであった。
 
 車に乗り込みカーナビに山伏登山口の百畳敷駐車場を設定すると距離は57kmなのだが2時間40分も必要だと計算された。登山開始は午後3時に成ってしまうし、そもそも平均速度が30km以下なのはおかしいだろうと思う。それでも余裕を持つため、有東木集落の見学は諦めて売店で抹茶塩を購入しながらお水をもらい長い移動を開始した。
山伏 2,014m 静岡県静岡市(山伏岳・山伏山という呼称も有り)
2022年09月16日登山:単独
 
 十枚山の麓に降りればセンターラインの引かれた快適な道路なのであるが口坂本温泉の手前から林の中の暗く細い見通しの利かない道路が続き、これは流石に飛ばせないなと思いながら進んでいくと井川スキー場手前で道が広がり直線が多くて速度が上げられる。ナビの到着予想時刻も速まり安心していると舗装に大きな穴が空いており右前輪に激しい衝撃を受ける。一旦止めて様子を見るが問題はないようだしハンドルのブレもない。安堵して先へ進み舗装道路のまま百畳敷駐車場には14:02に到着した。他には1台だけ車が停まっていた。
 
 直ぐに歩き始めると犬を連れたご婦人が降りてきた。足が悪くて山頂までは行けなかったけど山はいいわねという。私が十枚に登ってきたことを言うと山頂から静岡に向かう山並みをもう一度見たいけど足が悪くて無理と言って下山していった。歩けないけど山の雰囲気を味わいに来ているのだろう。山伏は標高が高いだけ開けた高原の雰囲気が気持ちよいが、立ち枯れた木が多く笹も少ない。山頂直前には鹿除けネットが設置してあり、その中にはヤナギランが群生していた。遠くで私の気配に気付いて逃げる鹿の姿もあり深刻な食害が生じていることを知る。標高差240mを41分で登り、先ほどより近くなった南アルプスの展望を楽しむ。富士山方面には雲が上がってきたが七面山方面も開け、気持ちの良い頂を散策した。涼しい風の中で快適に下山して私の車しか停まっていない駐車場には15:29に戻り着いた。
 
 口坂本温泉に入ろうと走り始めるとハンドルに違和感がある。降りて調べると右前輪の空気圧が低い。先ほどの衝撃でパンクしたのだと思うがここは静岡の奥地。百畳敷より奥は通行止めに成っているのでもう誰も来ない。何か伯母子岳の時と同じだなと思うがレガシーと違いフィットシャトルにはスペアタイヤがない。幸い道は平坦なので仕方がないと覚悟してマニアルを見ながらパンク修理を開始する。道具は10年前に車を購入した時のままなので使用期限を5年も過ぎていた。それでも何とか応急修理を終え、少し走っても空気圧は持っていたので何とか静岡市内まで帰れそうだと安堵して山を下りる。
 修理に時間を取られ市営の口坂本温泉には16:47に到着する。駐車場には他に車が無く、看板を見ると16時で終了のようだ。受付で話を聞くとお湯を抜いて清掃中だと言う。着替えだけでもさせて貰えないかと聞くとシャワーを使っても良いと言われお言葉に甘える。5分で着替えて街中を目指しながら、静岡ローカルのハンバーグに並ぶ時間を短縮するため、先に食べてからタイヤの本格修理をする日程が効率的だと考えた。事前に場所を調べていた「スパーゴ西ヶ谷店」が休みだったので「さわやか瀬名川店」に移動して食事にありつき、近くのオートバックスで閉店間際にタイヤを交換したので高速道路を走れるようになった。交換作業中にネットで調べた酒屋でまだ飲んでいない静岡市の地酒を購入してから、最後に東静岡駅前の柚木の郷でゆっくりと湯に浸かって疲れをとる。22:40に静岡を離れ、深夜の旧東名を通過して帰宅したのは翌日の0:45となった。とても長い一日であった。
三ノ塔 1,205m 神奈川県秦野市
2022年09月30日登山:S井と2人
 
 山伏の計画が擦れ違ってしまい再度山に行く計画を建てる中で30日で実施することになったが、翌日から神津島に行く準備があるので遠くへ行けず、手近な丹沢の未踏峰を攻めることにした。
 
 朝5時に起床して仕事を片づけ、6時40分に迎えにしたS井の車に乗って出発。新東名の秦野丹沢で降りて標高760mの菩提峠駐車場に到着し近くからヘリが飛び立つ中で着替え9:08に歩き始めた。
 踏み跡が多く複数の登山道が交差する中で大山を背中にして二ノ塔に向かって標高を稼いでいくと「日本尊命足跡」という分岐が現れ鳥居も見える。その奥の注連縄のある岩に頭を下げて登山道に戻り一登りで二ノ塔尾根に出て二ノ塔には10:04に到着した。小休止して水を飲んでいると表尾根から次々と登山者が登ってくる。平日なのに人気が高いなと思いながら追いかけるように表尾根に足を入れると整備された木道が続いていた。看板には神奈川県が水源環境保全税を使用して整備してると記載されており、快適に高度を稼げて休憩所の建つ頂には10:27に到着した。
 広い山頂からは丹沢の稜線が広がり、爽快な展望ではあるが富士山には雲がかかって見えない。フジアザミの接写などをしながら雲が切れるのを待つが、1時間経っても富士山が見えてこない。仕方がないので11:30に諦め下山を開始して往路を忠実に辿り駐車場には12:19に戻り着いた。昼休みを終えて飛行を再開したヘリコプターを観察するとバゲットを吊り下げて大山の山頂まで飛んでいる。水源環境保全税を使用して浸食防止のフトン籠でも施行しているのだろうと業界人のようなことを考えながら登山靴から草履に履き替えた。
 
 丹沢界隈に新たな温泉のイメージがないので昨年末の大山登山の時に入浴した「名水はだの富士見の湯」に行くと平日昼食付き千円のお得なセットがあり、更に平日には680円で鶏の唐揚げと生ビールという湯上がりセットも有る。S井が帰りも運転するので飲んでも良いよという言葉に甘え午後の麦酒タイムを楽しませていただきながら窓の外を眺めると富士山の頂が見え、食堂のテレビは本日富士山の初冠雪を確認したと伝えていた。冬にもう一度ここに登りに来ようとS井と話し合いながら帰路に着き、16時前に開催して翌日の旅の準備を行った。
天上山(2回目) 572m 東京都神津島村
2022年10月01日登山:娘と2人
 
 丹沢の三ノ塔に登った翌朝8時に木更津港から神津島に向かう臨時の高速船で10:45に神津島に着いた。6歳の娘だけでなく妻と妻の両親も一緒である。1泊2日の日程で島を楽しむためレンタカーを借りることまで手配済みである。先ずは昼食を摂って登山口に向かう。
 
 想像以上に長いアプローチを走って標高370mの白鳥口6合目駐車場に到着し、携帯で仕事をしている妻と妻を待つ義母を残して娘と義父とともに先行して12:48に歩き始めた。
 前回は黒島登山口から登っているので標高差も大きかったが、今回は山頂まで約200mである。標高差50mおきに1合づつ上がる標識があって励みになるが高齢の義父はゆっくりと歩き展望が開けた8合目で引き返したようである。先行していた私と娘であるが、8合目を過ぎるとテンションが高くなった娘が加速し始め、10合目で不入ガ沢に着いても止まらない。従って私も休むことが出来ず早足で歩くと山頂分岐を過ぎて不動池の方まで娘が先行してしまっていた。大声で戻っておいでと声を掛けるが風で届いている様子はない。5分ほど待って戻ってこないようならザックを置いて駆けていこうかと思ったら遠くから一人で帰って来たので安堵して一緒に山頂へ向かった。頂には13:18に到着し、白鳥10合目を見下ろすが妻が上がってくる気配はない。携帯で聞くともうすぐ10合目に付くというので山頂まで到着することを待つと遅くなり、下山後の赤崎遊歩道に時間が割けなくなると考え、10合目で合流することを考えた。従って天上山登頂者は私と娘だけである。
 13:28に下山を開始し13:40に妻と義母に会う。シャボン玉の元を持ってきた妻に娘は喜び暫く10合目で遊ぶ。私は山頂部を時計回りに少し進めば新島が見えるかと足を伸ばしてみたが展望は広がらない。新東京百景展望地まで足を伸ばすとか、本来なら半日を費やす場所であるが泳ぎたがる娘のリクエストに応えるため14時に成ったら下山を始める。下山路からは宮塚山の姿が綺麗であるが、娘は砂で滑って転びそうになるので私と杖で繋がって電車ごっこの様にして歩き無事下山した。駐車場には他に人影もないので海に入るよう海水パンツに着替え、17時に車を返すことが時間の制約になっているので携帯で延長は可能かと連絡すると、17時までに延長料金を持ってきて貰えれば問題ないと云われる。それを持っていけるようなら返却出来ますからと延長を断り、慌ただしくも楽しい島巡りを続けた。
菰釣山 1,379m 山梨県道志村
2022年11月25日登山:S井と2人
 
 月末に山に行く日程を決めたが、その夜に会合が入り近場の山から行き先を検討し、富士山の展望が良いが山梨百名山に選ばれなかったこの山か、展望が得られなければ鎌倉の山歩きをしようと計画した。山の準備は朝にすれば良いかと思い早く寝れば良いところをワールドカップのウルグアイvs韓国を見てしまい寝たのは1時過ぎだった。
 
 朝5時に起床して山の準備をしてから仕事を片づけ、6時20分に巌根駅に着くS井を私の車で拾って出発する。彼は下山後に都内で用事を済ませる予定なので電車なのである。合流までは雲が多かったがアクアラインに乗ると富士山がクッキリと見え鎌倉でなく菰釣をを選択する。ドイツ戦での日本の活躍などを話しながら中央道を進み、聞けば彼も仕事とワールドカップで寝不足のようである。相模湖ICを降りると霧が深く細い道は遅い車が前について時間が掛かり道志の森キャンプには8:47に到着した。そこより奥の林道は落ち葉が積もって路面が見えず、山伏の時のようにパンクすると嫌なのでキャンプ場の近くに車を停めて荷物を準備し8:58に歩き始めた。
 想像より平坦な林道を進み砂防ダムの先に広い駐車スペースが有ってここまでは楽に来れたな、等と話をしながら進み9:34に登山道へ入る。紅葉の時なら綺麗だったろうなと思いながら葉の積もる川沿いの道を進み木の上にケルンが並んだ場所から一気に稜線を目指して標高を上げ、1kmの稜線歩きの後に山頂には10:33に到着した。
 西側が開かれた山頂からは南アルプスや八ヶ岳は見えるものの、今回も富士山には雲がかかって見えない。山中湖や東富士演習場が見えただけで良いかと思うが、それでも11:10分まで粘って諦め下山を開始しする。復路で避難小屋の中を覗くと新しく清潔で、泊まっても良いかなとと思いながら下山を進める。途中で1組の登山者と擦れ違っただけで他には人の気配もなく、下山中に私が落ち葉で滑って滑落するものの怪我もなく駐車場には12:37に戻り着いた。
 
 昼食を道の駅で食べてから道志の湯で汗を流して着替えて帰路に着き、相模原ICから圏央道に乗って高井戸で降り、S井を京王笹塚駅の近くで降ろして帰宅したのは16::47であった。眠いと思いながら19時からの懇親会に出席したら目が覚め、帰宅したの午前1時となる長い一日を満喫した。
No93 .2022/9-2022/11    ←No92No94→
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