鹿島槍岳 2,889m 長野県大町市
1996年8月26日登山

 夏休みはアルプスに限る、と思って4年目。常念北岳空木と北から南を経て中央と登ったので今年は北に戻る年にした。例年休みを取る旧盆周辺は仕事が込んで、今年は8月末の登山になった。
 
 夜行列車で大町に朝到着。バスまで時間が有るなと思っていると「扇沢なら一緒に乗らないか」と他の登山者にタクシー相乗りの誘いを受ける。橋の手前で先に降り1150mの高低差を種池小屋まで2時間半で登り、休み無く縦走路を北上する。爺ヶ岳を越えて鹿島槍到着も午前中のことであった。手前まで見えていた展望も山頂到着とともに雲の中へ隠れていった。かえって見る物が無いので風景を楽しむ時間も取らず、歩行速度が上がるのであった。
 坂を下り八峰キレット小屋に到着したのが正午前。足の疲れはそれほどではない。天気は明日以降は崩れると知っているのでさらに前進する。
五竜岳 2,814m 長野県大町市
1996年8月26日登山

 キレットを越えても足の疲れがない、と言うことが間違っていたのを思い知るのに時間は掛からなかった。途中から明らかに休みが増えて五竜山頂到着は午後3時も近い時間だった。
 パトロールの青年に写真を撮ってもらい、彼が短パンで風のように駆け抜けていった山頂で麦酒を飲んで大休止する。五竜小屋到着は午後4時過ぎで、今朝扇沢から来たと言ったら驚かれた。翌日は朝から雨のため八方尾根を下山し、昼飯前に八方温泉に浸かり慌ただしい山を終えてしまった。
笠ケ岳 2,898m 岐阜県上宝村(高山市)
1996年9月15日登山

 敬老の日までの連休の天気は良いとテレビが伝える上に、仕事は休める見通しがあるから山へ行く。まだ関東の山では暑くて大変だろうから連続で北アルプスへ行くことを考え安房トンネル開通前に奥飛騨温泉を訪ねてみたいとの思いもあって笠ヶ岳を選定した。
 下山後の温泉巡りを容易にするため交通手段は車にした。土曜の夕方に出発してロープウェイの近くの駐車場で車中泊をする。
 翌朝は想像以上の快晴。左俣林道歩きの後、笠新道で一気に1100mの高低差を詰める。下山してくる登山客から「この急坂を登りに使うのは凄いね」などと感心される。杓子平に出ると目の前にスッキリとした笠の姿。先行する人と一緒になり山荘までの快適な展望を味わいながら進む。
 到着は3番目と言うことで比較的良い場所を確保でき、麦酒を持って山頂に行くと巨大なザックを背負ってクリヤノ頭を越えて縦走してきた大学生に出会う。凄い奴が居る物だと感心する。
 
 翌日は山頂で御来光を待つ。穂高のシルエットの上に色鮮やかなグラディエイションが広がる快適な朝を満喫してから朝食を取る。
 帰路は途中でドッペルゲンガーを見ながら弓折岳まで稜線を歩き、鏡平経由の小池新道で降りる。池に写る槍ヶ岳の美しさに前回の八方尾根の雨も報われるなどと思う。左俣林道に出たところで単独行の女の子に追いつき話をすると神奈川から来ていると言う。温泉経由で松本電鉄の新島々まで同乗させることになる。
 女の子には槍見の露天はきつかろうと荒神の湯を浴びて渋滞の帰路に付いた。
伊吹山 1,377m 滋賀県米原町
1996年11月4日

 伊吹に登るなら夜明け前にスキー場から登らないと面白くないよ、とF島に言われては居たが岐阜県走破との複合旅なので伊吹スカイラインを使う標高差120m程度のハイキングをしてきた。
 天気は快晴。空が青い。楽に登った割に展望の雄大さは感動的である。
 それにしても日本武尊に怪我を負わした神の住むこの山にこんな自動車道を造ってよいのかと思う。健脚だけでなく全ての人に山を楽しませてあげたい、という気持ちは分かるがその為に車道を造るのは建設業界に居る立場でも同意できない。
 また、武甲山同様にセメント用に削り続ける事は気になる。山に貴賤を着けるのも嫌だが、せめて名山は残してもらいたい。国定公園等の特別地域の範囲拡大が求められる。
火打山 2,462m 新潟県妙高高原町
1997年5月31日登山

 4年前にK藤とスキー登山を企画し、高谷池ヒュッテ前で撤退した苦い経験のある火打山に対し、今度はF島を連れての再挑戦をした。前回は@連休前で除雪が進んでないため道の上を延々と歩いた事、A日帰りの日程しか取れなかった事、の2点が敗因と思い今回は5月末の除雪が完璧な時期に1泊での登山である。

 前夜のうちに群馬のF島の社宅まで移動して泊まり、翌朝から明るい道を移動したので午後からの登山になる。小屋泊まりと決めているから急ぎはしない。道は夏道が続くと思われたが富士見平から上は残雪の上を歩くことになった。午後3時過ぎに高谷池ヒュッテ到着すると天気も落ち着いているので荷物を置いて1回目の山頂到着を夕方に行う。水蒸気が多く展望は得られなかった。
 翌朝も天気が良いので再度山頂まで登ると朝の冷え込みで空気が澄み渡り頸城の山々が良く眺められる。下りはグリセードを多用して昼前に車に到着し、黒姫温泉で汗を流す。湯上がりには運転するF島を後目に信濃地麦酒を助手席で満喫しながら帰っていった。
No21 .1996/8-1997/5    ←No20No22→
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