丹後山 1,809m 新潟県南魚沼市
2010年10月01日登山:A津さんと2人

 
 何回も企画を立て、その度に仕事や天候のため中止になっていた丹後山から中ノ岳への縦走を今度も予定したところ降水確率は2日間とも30%と低かった。さらに1週間前のS原の結婚式で一緒になったA津さんを誘ったところ30日の夜9時過ぎからなら空くと言うことなので2人で向かうことにした。
 30日は21:17に自宅を出て高速をひた走り日付が変わる頃に『ゆざわ健康ランド』に到着。一風呂浴びて直ぐに寝れば良いのであるが酒を飲んで寝たのは午前3時を回っていた。
 
 1日は7:15に起床し朝風呂に入って出発。コンビニで食料などを購入して十字峡の登山口に到着。当初予定では丹後山を経て中ノ岳の避難小屋まで行く予定だったが入山時間が遅いので丹後山避難小屋を目標に変更する。9:37に登山者カードを書き終えて林道歩きを始める。34分後に栃木橋の登山口に着き給水をする。この先に水場は無く、小屋の雨水タンクが壊れていた場合も考えると荷物は重くなる。
 登山道は整備されていたが休みのない急坂が続き、その上冬眠間近のマムシが日光浴をしている姿を次から次へ見る。10迄は数えたが余りの多さに止めてしまったので30匹ぐらい居たと思う。近づくとマムシが逃げてくれるが中には動きの遅い奴が居て咬まれないか心配である。その上前日の寝不足と久々の重い荷物に体力をすり減らしてしまい速度が上がらない。登るほどに雲が濃くなり、9合目で稜線に出たところでは殆どガスの中である。14:48に小屋に着いたが展望も無い。取り敢えず山頂を踏んでから宴会が開始される。幸い小屋の水も豊富でとても綺麗である。
 2人で持ち上げた酒類は麦酒700cc+日本酒740cc+ワイン740cc+ウイスキー500ccも有り、飲みきれない幸福に浸っていると丹後沢で遊んできた若者2人が小屋に着き午後4時丁度に下山を始める。下山中に日没になる事は明らかで、そのタフさに感動しながらさらに飲んでいると外が晴れている気配を感じる。日没後の外に飛び出すと綺麗な夕焼けの中に展望が広がっている。さらに夜には天の川も見える快適な小屋を独占する幸せを味わいつつ8時過ぎに眠りについた。
中ノ岳 2,085m 新潟県南魚沼市
2010年10月02日登山:A津さんと2人

 
 朝4時頃に目が覚めて外の便所に行くと木道には霜が降り空は薄曇りの月夜であった。展望は期待できないかなと思って寝直すと素晴らしい朝日で目を覚ました。
 気温8℃の小屋の中で塩ラーメンを食べ6:45から歩き始める。朝露に濡れてはいるが快適な縦走路を北上し、緩やかなアップダウンである利根川水源の碑がある、群馬百名山の大水上山[1,840m]を快適に通過して兎岳[1,926m]へ8:00に到着すると大展望が広がる。
 目的の中ノ岳の左には八海山、右には駒ケ岳が揃い越後三山が綺麗に並んでいる。北方には守門岳が横たわる右肩に飯豊山が霞み、東北東に分岐していく稜線は荒沢岳に通じ、南側には平ケ岳に続く稜線の遠くに燧岳至仏山が聳え、会津朝日岳会津駒ケ岳等も東に広がっている。歩いてきた縦走路を振り返ると遙か先に巻機山が見え、さらに遠くには、武尊山や上越国境の山、北アルプス、頸城の山々まで見通せ、過去の登山を一度に思い出す。この展望を満喫する休憩が20分になり素晴らしい縦走路と感嘆する。
 ところが、ここから中ノ岳に向かう稜線に入ると笹藪が深くなり足下が見えない中で細かい急坂が続き、何回も躓いたり転倒したりして進みが遅いばかりか喉が渇き疲労が深くなる。そう言えば昨日飲んだ酒類の量が・・と渇きの原因にも思いつく。日差しも強く、汗が休み無く流れてくる。昨日の登りで500cc位しか飲んでいなかったからと小屋で給水をせず900ccのペットボトル2本しか持ってこなかったうちの1本を途中で飲み干してしまう。
 休息回数が多くなり最低鞍部には9:35に到着。ここから中ノ岳山頂までは360mの登り返しだが、脱水症状のためか少し歩くと息が切れる。こまめに休息を入れて登り続けると始めて登山者とすれ違う。この先は藪が濃いですよと注意を促す。A津さんが水に余裕が有るというので給水ピッチも上がり、下山路の分岐である池の段に着いたところで水が底を付く。
 ザックをデポして、手にはビニール袋に入れたオレンジジュースと軽食だけを持ち鼓動が激しい心臓のままで山頂まで歩き10:51に頂を踏む。北には駒ヶ岳が低く見え、遠く霞むのは佐渡島の山のようである。八海山に向けた縦走路は非常に厳しそうだ。紅葉も一部で始まっているが沢にはまだ雪渓が残るなど、豪雪の山だと実感する。
 展望は申し分ないが呼吸を整えるのに10分ほど横になる。可能で有れば1時間ぐらい休みたいところであるが、この日の19時までに木更津で行われる会議に出るため1110に涙を飲んで山頂を後にする。:
 山頂で休んだこととA津さんから貰った水をがぶ飲みしたのが効いたのか、9合目からの急勾配の下山は調子よく歩き続けることが出来る。昨日の丹後山の稜線と違い急な部分も多いが平坦な部分が所々に混じり下山のリズムとしては悪くない。7合目の小ピーク、5合目の日向山、2合目の広場と途中で3回の小休止を入れつつもガンガンと下り14:23に十字峡登山口に降り立った。そこに建つ十字峡小屋の外にある水場で900ccのペットボトルを満タンにして一気飲みし頭から水を浴び顔を洗って厳しい山行が終了した。
 
 駐車場まで少し歩き登山カードの下山届けをポストに入れ出発。途中の畦地温泉が臨時休業だったので荒沢岳の往路で入浴した五十沢温泉で汗を流して着替えをする。新規温泉探索の時間が無いのも湯船でのんびりする時間も無く、まして定番の『へぎそば』を食べる間も無く六日町ICより関越に乗って木更津を目指したが3箇所も発生した事故渋滞に巻き込まれ帰り着いたのは17:46だった。既に会議は終了しており、もう少しのんびりしてくれば良かったかな、と思っていた。
真昼岳 1,060m 秋田県大仙市
2010年10月11日登山:単独

 
 紅葉を求めて2005年の和賀岳のように3連休で山を楽しむつもりで来たが天候に恵まれず雨が続いた。最終日に登らないと成果が何も無いからと展望が期待できないまま真昼山塊の中心である真昼岳に望んでしまった。
 当初は標高差も有る赤倉口から登る予定だったが前夜の雨で斜面が滑ると思い峰越口から稜線を歩いていく簡便なコースに変更してしまった。登山口の少し手前の水場でボトル2本を満タンにして峠の駐車場に着く。すっかり雲の中なのに乗用車8台とマイクロバスが停まっているのには驚いた。準備を済ませ10:38より歩行を開始する。アップダウンでは泥で滑りながら11:44に山頂に到着する。団体客が交互に記念写真を撮り山頂碑がなかなか空かない。撮影を終えても碑の前でおしゃべりをしている。傍若無人ぶりに腹が立ち、どいてくれるように頼んで写真を撮ると休憩もせずに下山を始める。途中で道いっぱいに広がって休憩している別の団体とすれ違いながら12:55に車に帰り着く。この間に一度もザックを降ろさなかったので手ぶらで歩いても良かった。
 泥だらけの靴や服を着替え林道を下り始めると下界は晴れていることが解り、運のなさを嘆く。なお、この前後の移動については秋田秋雨ドライブを参考にしていただきたい。
檜洞丸 1,601m 神奈川県山北町
2010年10月27日登山:S井と2人

 
 平日に有休を取ったS井と仕事に支障にならない近場の丹沢に行く計画を立てた。丹沢山系に登るのは8回目になるが7回は全て11月〜1月であった。今回も天気予報で12月下旬波の寒さになると伝えるので、今回も涼しい丹沢となりそうだ。
 朝5:07にS井が我が家に訪れ、荷物を私の車に移し替えて速やかに出発。渋滞もなく大井松田ICに6:19に到着した。コンビニで食料を購入し、西丹沢自然教室の駐車場には7:05に到着した.。便所に行き、荷物を整理して7:26より歩き始める。直ぐに「初心者コース」という標識があったが、少し先の分岐から本来の道を登る。
 丹沢の中で檜洞丸は第2の標高でありながら三角点も無く、山頂は樹林に覆われ展望が無いと聞いていた上に名称も「岳」でも「山」でもなく「丸」なのでマイナーな山だと思っていた。しかし平日なのに駐車場では登山準備の人が多く、登山道も落ち葉で少し滑りやすいが整備グレードの高さでも首都圏の山だと感心した。
 天気予報は晴れだったが、空一面雲で覆われている上に、雷鳴のような轟きが頻繁に聞こえ『稜線に出たら雷か?』と心配になりながら歩く。ガーラ沢出合で水を補給し、尾根に取り付き高度を稼ぎ、難しくない鎖場を越えて少し行くと展望園地に出る。残念ながら富士山は裾野しか見えていない。時々青空は見えるが雲の流れが遅く快晴は期待できそうもない。雷鳴のような音はまだ続いている。雨になりそうな雲でもなく稲光も無いので不思議に思いながら先へ進む。
 標高を上げるほどに紅葉も綺麗になり展望も良くなり、晴れていれば素晴らしい山だと思う。木道も現れ整備の良さに感心するうちに10:12に山頂に到着する。気温は6度程度だろうか、ともかく寒い。展望は予想以上に開けており多摩の山並みや南に箱根も良く見える。しかし富士が見えないし雷鳴も続くので犬越路まで縦走するのをやめ、下山に取りかかることにした。
 下山を始めて直ぐにすれ違った若者が『近くに自販機無いですか』と聞く。山小屋が近いので飲み物を売っているかも知れないと答えたが、さすがは首都圏の山であり、他では合わない人が登っていると思った。下山をしているうちに、雷鳴の正体は東富士の演習の音ではないかと思ったが、こんな遠くまで聞こえるか自信はない。初心者コースで東沢に沿って降り、12:47に車に帰った。中川温泉信玄館で汗を流し、足柄がB級グルメとして売り出している『まさカリー』を食べて16:40に家に帰った。S井は子供の夕食を作るため直ぐに帰っていった。
黒金山 2,232m 山梨県山梨市
2010年11月06日登山:単独

 
 F島と会津の山に行く予定が彼の風邪で中止になり、急遽紅葉の名所である西沢渓谷を経て黒金山に登ることにしたのは前夜の天気予報で紅葉狩り日和と伝えたときだった。
 
 午前4時半に自宅を出発し初狩PAで朝食を取り勝沼ICで高速を降りた。広域農道で一気に三富まで入った所でコンビニがない事に気づく。道の駅に希望を託して先へ進むと、外の売店がまさに開店するタイミングで磯部焼きを入手することが出来た。道の駅の交通整理員がこの先の駐車場は満車だと言うので土日500円の有料駐車場に車を停めて7:25に歩き始める。
 売店が経営する多くの駐車場が空いている状況を横目に歩道を進み、二俣の吊り橋を渡ってから西沢渓谷の核心部に入る。既に多くの観光客が列になって歩いており、所々で渋滞すら発生していた。早朝なので谷底に光は射していないが連続する滝と紅葉が見事にマッチし、これは実力で新日本観光地百選になるはずだなと納得する。
 渓谷のクライマックスに七ツ釜五段の滝が訪れ、充分に満足したところで9:07に森林軌道跡の分岐に出る。ここで観光客は帰り道に進むのだが、目的の黒金山はそれに背を向けて急登に取りかかる事になる。
 登り始めると紅葉は直ぐに終わり針葉樹と石楠花の緑の景色が始まる。花の季節に来ると素晴らしいだろうと思わせるほどの群落の中を紅葉台まで登ると道は少し緩くなり2021mピークで稜線に出る。黒金山は遠く、アップダウンも予想以上に有りそうだと気を引き締める。しかし多くのピークをトラバースしており、森林の中で楽だが落葉が多いため時々解らなくなる道を注意しながら進み11:28に牛首の分岐に着く。雲海の上に富士が浮かび乾徳山は尾根の上のコブに見える。
 瑞牆山小川山の関係もそうだが、奥にマイナーだが標高の高いピークを持っている名山が秩父に揃っているのは偶然だろうか。黒金山に登らねばと思ったのは乾徳山の山頂だった事も、小川山に登ろうと思った瑞牆山の山頂だったように類似しているし、どちらも森林に覆われたなだらかな山であることまで同じである。さらに言えば登山口に大勢の人が居ながら登山道では誰にも会わない点まで小川山と一緒だと妙に納得する。
 最後の坂を休まず登り11:58に山頂に到着。単独行者2名が休憩しているだけの静かな頂だ。西側に展望が開け南アルプスはもちろん御嶽まで遠望が効く。北奥千丈の肩には金峰山が見え、後ろには甲武信ヶ岳が大きい。予想以上の展望を満喫しながら磯部焼きを食べる。
 下山路も長いので休息も短く12:25に山頂を後にする。歩行時間が長くなっているので少しの登り返しで足に疲労が溜まってきたのが解り始める。落ち葉で滑りそうな急坂を慎重に降りていると、乾徳山から縦走してきたという3人組に追い越される。登山の最中に出会ったのは山頂の2名を含め、これだけだった。
 森林軌道跡に14:26に降りると休憩所には大勢の観光客で溢れていた。帰り道が渋滞しそうだと休みも取らずに歩き始める。道は鉄道が通って居ただけに起伏も少なく紅葉を満喫しながら快適に歩くことが出来る。それにしても良くこんな重機が入らない斜面に軌道を敷設したと、技術者として感心しながら歩き続け、車に帰り着いたのは谷底に日が陰った15:37であった。
 
 三富温泉の白龍閣で気持ちよい温泉に入り勝沼から高速に乗る。渋滞の中、ラジオで日本シリーズを聞き続け自宅には20:41に帰り着いた。そのままテレビで観戦した千葉ロッテと中日の第6戦は15回まで決着が付かず、シリーズ最長試合となる5時間43分の熱戦を胃がキリキリ痛みながら見終えて床についたのは日付が変わった後だった。大変長い一日だった(なお、翌日の第7戦も延長12回、午後11時まで戦い続けてロッテは日本一になった。その感動は黒金山に8時間12分を費やしたのも大したことが無い記憶に塗り替えてしまった)。
No63 .2010/10-2010/11    ←No62No64→
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