連休最終日に思う
2013/05/06記
 GWが本日で終わる。国民の願いが通じるのかは分からないが、例年良い天気になっている記憶があり、今年も北海道を除けば、爽やかな日が続いていた。私個人としても高校1年生の頃から毎年のように続けてきた旅を今年も行えたことが嬉しい。そんな今回の連休中にも、様々なニュースが飛び込んできたのでそれに対して考える雑多なことを、過去の旅を右側に懐かしく思い出しながら、断片的に記載する。
 
@.北方領土問題
 4月29日に安倍首相とプーチン大統領によるの日露首脳会談で、北方領土の問題が取り上げられたようだが、報道機関によっては温度差が感じられ、進展しそうだと見る意見と、経済やエネルギー問題だけが進むという意見の両方があり、平和条約の締結も微妙なようだ。
 個人的には硬直し現実感の少ない4島一括変換でなく、中露国境の解決方法として採用された「面積按分」の方法によって、3島+αとする返還で歓迎である。択捉島の一部が帰ってくれば日本にとって4島返還であり、ロシアにも過半数の面積が残れば納得できる話だと思う。日本に陸続きの国境が出来るのも嬉しいではないだろうか。
 日露間の関係が改善され、日本国民の抵抗感が無くなればウラジオストックなどは一大観光地になり、ロシアにも観光収入が得られるだろうと思う。現在のロシア極東地域の人口は少ないが、日本から最も近い欧州である。それより人口が少なく距離が遠い沖縄に大勢の観光客が行くことを考えると、サービスさえ改善すれば、需要は少なくないはずである。また、他の東アジアの国に比べ、賃金水準の高さを考えると産業の進出は難しいだろうが、豊富な電力や土地も魅力であろう。
 日本海を挟んで間近に有る隣国へ、たとえばソウルのように安価で頻繁なツアーが組まれ、気軽に相互訪問出来る日が早く訪れることを願いながら報道を聞いていた。
 
A.世界遺産問題
 4月30日には世界遺産への登録の可否を調査する「国際記念物遺跡会議(イコモス)」が、日本が推薦していた「富士山」を三保松原を除いて登録、「鎌倉」は不登録とするよう、「国連教育科学文化機関(ユネスコ)」に勧告したという報道があった。富士山は自然遺産から文化遺産にカテゴリーを変えて申請した結果として認められたが、鎌倉は歴史があるだけでは駄目で、具体的な鎌倉文化がお寺の建築程度しか残っていない程度では普遍的な価値と認められないと示されたことになる。
 毎年、年末になると周辺の山に登って眺めることを慣例としている私にとって、富士山は評価に値する山と理解しているが、これを契機に入山料制度を導入してもらいたい。それを原資に、バイオ便所を増設するとともに、カレーしか出さない山小屋のクオリティを、せめて北アルプスの小屋の半分程度まで上げてもらいたい。そうでないと、世界遺産を見に訪れた海外の人達に恥ずかしい話である。
 富士山の超過入山者対策として、より良いことは、全国民に対し、南北アルプスをはじめとした日本中の山々の方が富士山より標高は低くとも素晴らしいことを教え、単に高い山に登ることは格好よくないとPRする事だと、2回ほど山頂を踏んできた私は思うのである。
 鎌倉については特に言及しないが、関東近郊の都市では開発圧力が強すぎて街から個性が失われているように思っている。木更津が世界遺産になれるとは思っていないが、過去の歴史を大切に出来ないようでは都市の個性も際立たないだろうと、真舟陣屋での墓地計画で思ったことを記載するに留めたい。
 
B.憲法改正問題
 5月3日は憲法記念日であった。安倍首相は憲法96条で規定されている国会での発議手続きを変更する方針を示し、自民党や維新の会などから支持される中で、例年に無く憲法議論が交わされていたように思う。しかし現在の小選挙区制度を維持した場合、国民の過半数の支持を得ていなくても憲法改正の発議が行える2/3以上の議席を得ることが簡単であることは前回の民主党や今回の自民党の得票結果で明らかであるのにその点の議論はあまり聞かれない。
 つまり国民の過半数を得ることより、現況制度の中では国会議員の2/3を得ることのほうが容易そうだと、私は思うのである。
 そうであっても、ハードルを下げることで、今まで以上に活発な議論が交わされ、その結果としてより次元の高い憲法が制定されるのであればそれは国民にとって素晴らしいことであるし、野党が主張するように現況より国際社会を不安定とする事が明らかな原案が出来た場合は国民投票で過半数を取ることは難しいだろうと思うのである。
 手続き論の部分で議論が白熱する以上に、維新の会の主張にもあるように、そもそもどのような国家形態を執ろうとしているのか、地方自治をどうするのか等という話が聞きたいものだ。
 
C.南北朝鮮問題
 韓国は南朝鮮と言われる事を嫌うようなので、タイトルは適切ではないかもしれないが、5月3日に開城工業団地に留まっていた最後の韓国人作業員7名が撤退した事によって、いよいよ南北をつなぐ糸が切れそうになっている事が気になるのでこのような題にした。
 北のメディアは 「開城工業団地が閉鎖の危機を迎えていることの全責任は韓国政府にある」と伝えているが、世界は北朝鮮が一方的に契約を破棄して無理難題を与えてきたと理解している。
 北朝鮮の労働者と韓国の企業管理者との間にも友情が生じていただろうし、北の労働者はそこで得た収入が生活の大きな支えになっていたはずである。それが独裁政権の一方的な支持により職場と収入と友人を失うような事態になりながらも、労働者が反対を表明する事が許されない事だけでも悲しすぎる。
 上段の@でロシア極東地域との相互訪問を希望すると記載しているが、今でも便が少なく料金が高く手続きが面倒で、行った先のサービス水準が低いという事を除けばロシアは自由に訪問が可能な場所である事に対し、同様に距離的には近い北朝鮮には直行する便が無い状況が続いている異常さを改めて考えている。
 アメリカと戦ったベトナムが現在では日本企業の進出先の筆頭候補に上がるように、組織や体制が変われば国境なんて低くなると思うが、今の北朝鮮の独裁体制の下では日本から拉致された人達を含んだ全ての支配されている国民が哀れであり、人道的な見地から国家体制の変更が周辺国によって議論されるべき段階に来ていると思うべきだろう。
 そういえば、春頃から「打つぞ」といっていたロケットの話題が連休頃から聞かれなくなった。これも理解が難しい話である。
 
D.国民栄誉賞の件
 最後に取り上げたいのは、昨日東京ドームで行われた長嶋茂雄・松井秀喜の両名に5月5日に授与された国民栄誉賞の件である。
 この両名が多くの国民に感動や勇気を与えたことは事実であり、世界記録が無いとしても国民栄誉賞が相応しくないと思うわけではない。
 しかし、他のスポーツを考えるとJリーグが20周年を迎えても一人の受賞者も無く(チームとして「なでしこジャパン」は受賞している)、陸上(高橋尚子)、レスリング(吉田沙保里)、柔道(山下泰裕)、大相撲(千代の富士・大鵬)に比べ野球(王貞治・衣笠祥雄・長嶋茂雄・松井秀喜)の突出が目立つ。
 そもそも、国民栄誉賞はどれだけ人の心に残ったのか、という視点で選ばれるため、中継の多い野球、特に巨人軍から多く選ばれることは順当で、そのような意味では芸能界の人気投票に近いのかも知れない。
 芸能界を調べると、作曲家(古賀政男・藤山一郎・服部良一・吉田正・遠藤実)と俳優(長谷川一夫・渥美清・森光子・森繁久彌)が突出して多く、歌手はまだ一人(美空ひばり)だけである。テレビに出れば良いという事では無い様だ。
 ちなみにスポーツ界と芸能界以外では冒険家(植村直己)、漫画家(長谷川町子)、映画監督(黒澤明)が受賞しているだけである。
 クールジャパンとして日本を前面に出すのなら、漫画である「ドラえもん」「ドラゴンボール」等の作者は同様に評価されるべきと思う。しかし、手塚治虫に出されなかった賞を他の漫画家が受けることが出来なくなると思われる。
 いちいち目くじらを立てることでは無いし、そもそも国民栄誉賞というのはそんなもので、社会的に公正な評価を文化勲章が行っていると考えるべきかも知れないが、連休の最後に気になる話だったからあえて記載した。
 
 以上、連休中に気になった話題の5点をまとまり無く記載した。ここまで読んで右の旅行記録は何の意味も無いことに気がついたであろう。単に昔の連休を個人的に楽しんだだけの物である。

1979年箱根の旅

1980年秩父の旅

1981年袋田の旅

1982年妙義の旅

1983年多野の旅

1984年会津の旅

1985年信州の旅

1987年紀内の旅

1988年道東の旅

1989年石鎚の旅

1991年下越の旅

1992年金沢の旅

1993年北上の旅

1994年山陰の旅

1995年西海の旅

1996年南海の旅

1997年北越の旅

1998年月山の旅

1999年島並の旅

2000年釜山の旅

2001年中四の旅

2002年鎮西の旅

2003年守門岳登山

2004年走破の旅

2005年東北登山旅

2006年関西登山旅

2007年袈裟丸登山

2009年笈ケ岳登山

2010年四国の旅

2012年関西登山旅

2013年浅草岳登山